【医師コラム③】デリケートゾーンの黒ずみQ&A。原因とケア方法、予防策を解説
デリケートゾーンの黒ずみは、多くの女性が抱える悩みの一つです。しかし、黒ずみの原因や改善方法について、正しい知識を持つ人は少ないのが現状。産婦人科医の“あっこ先生”こと宮本 亜希子先生が、黒ずみ対策のポイントをQ&A方式で解説します。

宮本亜希子先生
産婦人科と婦人科美容のクリニックの院長を兼業する傍ら、3児の母としての経験を生かし、性教育やHPVワクチンの普及など女性のQOL向上に尽力。ビアンカクリニック、スワンクリニック銀座、シェリークリニック勤務。2024年1月より女性医療クリニックLUNAにて「フェムゾーン美容外来」を開設し、膣のゆるみや黒ずみ、オーガズムの改善など、より良いセックスライフのサポートに取り組む。AVプロダクション「Mine’s」の顧問医師も務める。
Q. デリケートゾーン(VIO、ワキ、バストトップ)の黒ずみの主な原因は何ですか?
A. 主に女性ホルモンの影響です。思春期になって女性ホルモンの分泌が活発になると、メラニン色素の生成が促進されます。VIOゾーン、ワキ、バストトップの皮膚は特にその影響を受けやすく、黒ずみやくすみが生じるのが普通です。
また、下着との摩擦や自己処理による刺激も、黒ずみの原因に。キツめの下着を長時間着用していたり、カミソリや毛抜きで肌に負担をかけると、皮膚に炎症が起き、色素沈着を引き起こすことがあります。
Q. VIO、ワキ、バストトップなどの黒ずみを予防するためには、どうしたらいいですか?
A. 黒ずみ予防のポイントは以下の通りです。
・下着は、締め付けが少なく、通気性の良い素材を選ぶ
・ナイロンやレースなど化学繊維の下着を普段づかいしない
・カミソリや毛抜きを使った自己処理は避け、医療脱毛をする
・必要以上にデリケートゾーンを洗いすぎない
Q. 黒ずみをスキンケアで改善することはできますか?
A. 摩擦や刺激を避け、保湿を心がけることで肌色を明るくすることは可能。以下のようなケア方法がおすすめです。
・デリケートゾーン用のソープでやさしく洗う
・ゴシゴシこすらず、泡で包み込むようにして洗う
・トイレットペーパーやタオルを使うときは、肌を摩擦しないで押し当てるようにする
・デリケートゾーン用の保湿剤で乾燥を防ぎ、肌のバリア機能を高める
Q. クリニックで受けられる黒ずみ治療はありますか?
A. クリニックでは、ピーリングや光治療などの黒ずみ治療を受けることができます。
ピーリングは、古い角質を取り除くことで、メラニンの排出を促す施術です。デリケートゾーンは皮膚が薄いため、刺激の少ないマイルドなピーリングを選ぶ必要があります。
光治療は、メラニンに反応する特殊な光を当てることで、色素沈着を改善する施術です。レーザーの施術後は一時的に赤みやヒリヒリ感が出ることがありますが、数日で落ち着いていきます。
ただし、これらの治療法は、一度で劇的な効果が得られるわけではありません。数回に分けて施術を行い、徐々に黒ずみを改善していくことになります。また、施術後のアフターケアも大切。デリケートゾーン用の保湿剤で乾燥を防ぐとともに、紫外線対策を怠らないようにしましょう。
Q. デリケートゾーンのセルフケアで、市販品を使う際の選び方のコツやおすすめの成分などがあれば教えてください。
A. 市販品を使う際は、デリケートゾーン用につくられた低刺激でマイルドなアイテムを選びましょう。黒ずみに効果が期待できる成分としては、以下のようなものが挙げられます。
・ハイドロキノン:メラニンの生成を抑制し、シミやそばかすを防ぐ美白(※)成分。
ただし刺激が強いため、医師に相談することをおすすめします。
・トラネキサム酸:メラニンの生成に関わる酵素の働きを抑える有効成分。
ハイドロキノンよりも刺激が少なく、デリケートな肌にも使いやすいのが特徴です。
・グリチルリチン酸ジカリウム:肌の赤みやかゆみを抑える抗炎症成分。肌荒れを防いで整えてくれます。
Q. デリケートゾーンの黒ずみは、完全に無くすことができますか?
A. 残念ながら、女性ホルモンの影響による黒ずみを完全に無くすことは難しいと言えます。黒ずみの程度には個人差がありますが、ある程度の色素沈着は、性成熟期の女性のからだの特徴です。
大切なのは、必要以上に気にしすぎないで、自分が心地いいと思えるケアを毎日の習慣にしていくこと。例えばネイルケアをすると、パソコンを使うたびにかわいい爪が目に入って、ちょっとご機嫌になりますよね。そんな感覚で楽しく続けられるセルフケアを取り入れて、デリケートゾーンをもっとセクシーに、若々しくキープしていきましょう。
※メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ